はじめに
この記事は、円錐角膜という目の病気と向き合い、最新の治療法である CAIRS(ケアーズ)治療を選択するまでの経緯をお伝えする連載の第1回目です。 同じ病気と診断された方、治療を検討されている方の参考になれば幸いです。
この連載について
- 第1回:治療決断編(本記事)
- 第2回:手術直前準備編(予定)
- 第3回:手術当日編(予定)
- 第4回:術後経過編(予定)
※ 記事は手術の経過に合わせて随時更新していきます。 ブックマークしていただけると嬉しいです。
私の円錐角膜との歩み
発症から現在まで
- 14歳:円錐角膜の診断
- 19歳~現在:ハードコンタクトレンズ使用
- 25歳頃:角膜の混濁を認める(経過観察)
- 現在の視力:コンタクト使用時0.8~1.2(状態により変動)
日常生活での影響
中度のスギ花粉症があり、花粉の季節は特に目の管理が大変です。 ハードコンタクトの装用は、花粉症の症状と相まって より一層の注意が必要になります。
治療を決意した理由
- 視力の不安定さへの不安
- 角膜混濁の進行への懸念
- より良い視力改善への期待
- 最新治療法の登場
円錐角膜について
円錐角膜は、角膜が円錐状に突出してしまう進行性の疾患です。 主に10代から20代の若い年齢で発症し、進行性の視力低下を引き起こします。
主な症状
- 視力低下
- 乱視の進行
- 光のにじみ
- 視界のゆがみ
従来の治療法
- ハードコンタクトレンズ
- 角膜クロスリンキング
- 角膜移植
- 角膜内リング
CAIRS(ケアーズ)治療とは
CAIRS(ケアーズ)は、ヒト角膜コラーゲンリングを角膜に埋め込んで、 角膜のゆがみを改善する最新の治療法です。
メリット
- 視力改善が期待できる
- 角膜との親和性が高い
- 角膜の溶解やリングの飛び出しのリスクが低い
- 進行した症例にも対応可能
デメリット
- 進行予防効果は期待できない(クロスリンキングとの併用が推奨)
- 高度な手術技術が必要
- 長期的な経過はまだ不明
CAIRSの特徴
従来の角膜内リングがアクリル樹脂製だったのに対し、 CAIRSではヒト由来の角膜コラーゲンリングを使用します。 これにより、角膜との親和性が高く、合併症のリスクが 低減されると期待されています。
なぜCAIRSを選んだのか
他の治療法を選ばなかった理由
全層角膜移植について
全層角膜移植は、円錐角膜の治療として確立された方法の一つですが、 私の場合、以下の理由から選択肢から外しました:
- ・重度の花粉アレルギーがあり、拒絶反応のリスクが高いと判断
- ・免疫抑制剤の長期使用が必要となる可能性
- ・術後の感染症リスク
拒絶反応について
角膜移植における拒絶反応は、免疫システムがドナーの角膜を 「異物」として認識することで起こります。具体的には:
- 1. T細胞による認識:移植された角膜の抗原をT細胞が認識
- 2. 免疫応答の活性化:炎症性サイトカインの放出
- 3. 組織の損傷:免疫細胞による移植組織の攻撃
特にアレルギー体質の場合、免疫システムが過敏に反応する 可能性が高く、拒絶反応のリスクが上昇すると考えられます。
従来の角膜内リングについて
従来の角膜内リング(ICRS)は、人工物を角膜に挿入する治療法ですが、 以下の理由から選択を見送りました:
- ・角膜の混濁が認められる場合、治療適応外となる可能性が高い
- ・人工物による合併症のリスク
- ・長期的な安全性への懸念
CAIRSを知った経緯
角膜クロスリンキングの相談から
社会人となり、以前から興味のあった角膜クロスリンキング治療の 相談のために眼科を受診しました。その際、医師から新しい治療法として CAIRSを提案されました。
現在の角膜の状態
診察の結果、以下のことが判明しました:
- ・角膜に混濁が認められる
- ・混濁の原因は、長期のハードコンタクトレンズ使用による 機械的な摩擦が原因と推測される
- ・現状では、裸眼での生活のほうが角膜への負担が少ない 可能性がある
CAIRSを選択した決め手
- 1. 角膜との親和性が高い(ヒト由来のコラーゲンを使用)
- 2. 混濁がある場合でも治療可能
- 3. 将来的な視力改善が期待できる
- 4. 必要に応じて角膜クロスリンキングとの併用も可能
手術前の準備
現在、以下の準備を進めています:
- 詳細な検査と経過観察
- 手術日程の調整
- 術後の生活計画の立案
- 必要な書類の準備
準備のポイント
- 術前の詳細な検査
- 手術費用の確認と準備
- 術後のケアについての理解
- 仕事や生活の調整
今後の更新予定
この連載では、以下の内容を順次更新していく予定です:
- 手術前の最終検査の詳細
- 手術当日の様子
- 術後の経過
- 視力の変化
- 日常生活への影響
同じ境遇の方へ
円錐角膜と診断された時の不安は、今でも鮮明に覚えています。 しかし、医療技術は日々進歩しており、新しい治療法も 登場しています。この連載が、同じ悩みを持つ方々の お力になれば幸いです。
最後に
この記事は随時更新していきます。 手術までの準備や不安な気持ち、実際の手術、 そして回復までの過程を、できるだけ詳しく お伝えしていく予定です。
同じ病気と向き合う方々の参考になれば幸いです。 ブックマークやSNSでのシェアをしていただけると 嬉しく思います。